我孫子市文化芸術振興条例の制定について
近年、文学、音楽、美術、地域伝統芸能、文化財などの文化芸術がもつ意義を尊重し、振興を図る動きが高まっています。平成13年には文化芸術振興基本法が公布され、「文化芸術の振興に関する基本となる事項を定め、文化芸術活動を行う者の自主的な活動の促進を旨として、文化芸術の振興に関する施策の総合的な 推進を図り、心豊かな国民生活および活力ある社会の実現に寄与する」ことが定められました。これを受けて、翌平成14年には「知的財産基本法」が、平成17年には「文字・活字文化振興法」が制定されるなど法的整備が進んでおります。
我孫子市においても、文化芸術振興に関する施策の大綱が基本構想に位置付けられ、現在、第2次基本計画のもと年次目標に沿って、文化芸術活動への支援・情報発信、郷土芸能の保存への支援等、様々な施策が展開されています。今年度からの第4期実施計画において初めて明記された、我孫子市文化芸術振興条例の制定については、平成14年3月に掛川議員が本会議にて提案されていますし、公明党の鈴木さんや江原議員においても、松本市や春日井市の取り組みを紹介し、代表質問で取り上げられていました。教育長は平成20年度教育委員会施政方針において、「誰でも」「いつでも」「どこでも」文化・芸術活動に参加し享受することができる、我孫子らしさと魅力あふれる条例にしたいと、条例制定について述べられ、今年度7月、公募市民、文化芸術活動団体に属する方、学識経験者等、9名の委員で策定委員会が組織されました。11月までの5回にわたる策定委員会の会議では、委員の方々がそれぞれの立場で誇りをもって、我孫子市に対する熱い思いを語り、活発な議論が 展開されていました。多岐にわたる議論を素案としてまとめられた、事務局の文化課の方々には大変なご苦労もあったろうと思います。
この議案条例を制定する趣旨については、私は反対するものではなく、この条例と平成19年度に策定された「手賀沼文化拠点整備計画」等をリンクさせ、身近にある我孫子市ならではの自然や文化を親しみ、我孫子市に愛着を持つ子どもたちの育成や、文化芸術振興施策の充実を心から望んでいます。本議案に対する疑問点を整理させていただき、そして、執行体制の明確化、関連施策の具現化を期待する立場から、大綱質疑をさせていただきます。
1、第2条 定義について
ア、文化芸術の定義
第2条では、市民、団体の2つの用語の定義をしています。しかしながら、本条例案の核となる文化芸術の定義がされていません。文化芸術振興基本法では、第8条ないし第14条において、芸術と文化についてジャンルが例示列挙され、それらについての基本的施策を明記しています。本市における文化芸術とは何を指すのかお答えください。また、策定委員会における素案では、当初、文化芸術の定義として、文学、音楽、美術、演劇、舞踊その他の芸術、伝統芸能、伝統的な年中行事、文化財その他の伝統文化、茶道、華道、囲碁、将棋その他の生活文化等をいう、との条文を盛り込んでいました。これを条項に規定しなかった理由について、ご説明ください。
イ、市外居住者も市民と定義した理由
ウ、前文の解釈
条例案では、市内に居住し、勤務し、もしくは在学し、又は市内で文化芸術活動を行っている者、を市民と定義し、市外居住者も市民として定義しています。市民の定義と言えば、思い起こされるのが、平成18年12月に否決された自治基本条例ですが、自治基本条例の議論をそのままこの条例案にあてはめるつもりはありません。たまたま訪れ、我孫子市ならではの風景に魅かれ、絵を描くような芸術家、市内文化施設で活動する市外の方々のために、活動の場の充実や支援を講ずることも、文化芸術の継承、郷土に愛着を持つ担い手育成の観点から大切であると私は考えます。
前文後段には、「文化芸術を通じて市民一人ひとりが、我孫子市民としての自信と誇りを持ちながら心豊かに街づくりを推進できるよう、ここにこの条例を制定する」、と記されています。市外居住者も市民と定義している本市条例案では、この前文のままであると、市外居住者にも我孫子市民としての自信と誇りを持つことを期待するもので、当然それは不可能なことです。我孫子市民としての自信と誇りを持つためには、市内に居住していることが前提なのではないでしょうか。我孫子市に対しての自信と誇り、あるいは我孫子市に対する愛着を持ちながら、などの文言のほうが適当かと感じています。
文化芸術振興条例に定義条項を規定した自治体は少なく、これを明記した足立区や港区においても今後、文化芸術についての定義について検討の余地があるとしています。本市においても市民、団体のみならず、条例案の核である文化芸術についても定義すべきであるし、市外居住者にまで市民の定義を拡大するならば、指摘した通り前文に矛盾を生じますが、見解をお示しください。
2、第3条の2、第7条の2、第12条 環境の整備、施設の整備、機会の提供について
基本理念を定めた第3条の2、文化芸術振興のための支援等を 定めた第7条の2、歴史的文化遺産の保存等を定めた第12条では、市の努力規定として、文化芸術活動に関わる環境や施設の整備、発表や鑑賞の機会の提供について定めています。これらハード面の整備は、我孫子市内に限るものなのか、あるいは、広域行政として市外での整備を図っていくことも含まれるのでしょうか。例えば、現在1,000人から1,200人規模の大ホールが市内に必要だとされていながらも、財政状況を理由にただちには整備できず、近隣市のホール使用を余儀なくされている状況であります。この現況は、努力規定の中で認められるものなのか、あるいは、市内に市民会館のような文化施設を建設しようとしなければ、この文化芸術振興条例の規定に反していると捉えられるのか、条文解釈について見解をお示しください。
3、第8条、第9条
ア、子ども、高齢者、障害者等を列挙した理由
イ、若年層についての施策充実をどう考えているのか
策定委員会において、子どもと、高齢者・障害者等を特記し、それぞれ分けた条文整備が必要だろうとの議論があり、文化芸術活動に係る施策の充実として、第8条において、子どもたちの活動の機会や場の提供について、第9条においては、高齢者、障害者等の活動が活発に行われるよう環境の整備について規定されています。他市の条例を見ると、さらに学校教育への充実策、支援策等規定したものもありました。我孫子市らしい配慮のある条項だと思いますが、子ども、高齢者、障害のある方について列挙し、個々に規定した理由についてお答えください。
第2次基本計画に位置付けられた重点プロジェクトのひとつに「若い世代に魅力ある、子育てしやすいまちづくり」があり、我孫子市の持続的な発展を実現するために、若い世代の定住化を図るべく、星野市長を中心にまちづくりを進めているところです。その若い世代にも、郷土への愛着を持ち、文化芸術振興に積極的に関わってもらうことも必要と考えますが、本条例案で明記されていない若い世代、子育て世代にむけた文化芸術活動に係る施策の充実について、どのように考えているのか、見解をお示しください。
4、第10条 市特有の文化、新たな文化とは
先順位者による質疑応答で理解したので、省略しました。
5、第14条 財政上の措置について
ア、基金の創設等、財源の確保策
他自治体の条例を調査したところ、文化芸術を振興する事業の財源として活かすために文化芸術振興基金を設置し、また、条例の制定に合わせ、基金の拡充に支援、協力をお願いしているところがありました。本市条例案では財政上の措置として、文化芸術振興に関する基金については明記されていませんが、基金創設等、財源の確保策をどう検討されているのか、お答えください。
イ、学校教育への予算計上
学校教育における音楽振興も、この条例に包括される文化芸術活動であります。第4期実施計画には来年度、再来年度と小学校4校ずつに楽器の整備を行うと記されていながら、楽器購入費は来年度予算案では緊急性が低いとの理由で削られています。学校現場からは、毎年のように要望してはいるものの、半ばあきらめの声も耳にしますが、子どもたちのための情操教育備品の購入、特に楽器購入予算については、本条例案第14条による財政上の措置の対象となるのでしょうか、お答えください。
6、第15条 推進体制について
この推進体制については、策定委員会でも重要課題として議論にあがっていたようです。文化芸術振興条例や付属する規則に、審議会設置について規定している市が大半ですし、つくば市では、基本方針策定、審議会の設置を中心とした簡素な条例を制定しています。本市の条例案では審議会設置について明記されていませんが、この第15条の規定は、地方自治法第138条の4、第3項の規定による附属機関としての審議会を設けると理解してよろしいでしょうか。また、近隣市の松戸市、市川市、八千代市、取手市等においては、文化芸術活動をサポートする財団法人が、文化施設の管理運営を受託するなど、施策推進の一端を担っているようです。審議会や財団法人等を新たに設置するのか、あるいは、文化課を中心とする庁内の執行体制の強化や、社会教育委員の活用などで対応するのでしょうか。第15条に規定された本市における推進体制の整備について、現在の検討状況をお示しください。
7、第16条 基本方針について
ア、策定項目
イ、策定スケジュール
ウ、広聴手法
苫小牧市では基本方針について、11項目にわたる詳細事項を条文に規定していますし、他市においても、文化芸術振興条例と基本方針の関係性を明確にする観点から、基本方針として定める 事項について6〜7項目を規定している条例が多くありました。
本市条例案では、基本方針の策定についてのみ規定し、策定項目については例示されておりません。基本方針策定にあたっては、広く市民等の意見を聴くものとするとしていますが、内部規定で議決を経ることなく基本方針が定められることになっています。 来年度11万円の需用費が予算計上され、基本方針の策定を予定されていますが、策定を予定している事項についてお示しください。また、条例制定後の基本方針の策定スケジュールと、第16条の2項で規定されている、広聴手法、特に民意を反映する議会での審議予定の有無について、お答えください。
8、第18条 規則について
教育委員会は市長から独立した合議制の執行機関であることから、教育委員会が所管する条例における委任事項については、教育委員会規則で定めることがこれまでの通例でした。しかし、この条例案では市長部局における規則で定める、と第18条に明記されております。もともと社会教育と生涯学習などは、財政権限を持つ市長部局との二元的管理となっており、本市条例施行規則の策定にあたっては、行政横断的な課題としてより慎重な議論が必要となります。この条例案については、規則に委ねる条項は第18条以外に見当たらないものの、今定例会に議案上程するにあたって、市長部局と教育委員会との間でどのような議論を積まれてきたのか、また、それぞれがどういった項目を規則として定めようとしているのか、お答えください。
